『月記』

小瀬村卓実の備忘録。キャリア論と経営論を残します。

企業を揺るがす固定費の罠

今回は、経営をしていく中で気をつけなければいけない固定費について考えていきたいと思います。

 

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不用意に増やすな

費用は大きく変動費と固定費に分けることができる。

 

固定費とはその名の通り、

売り上げにかかわらず、固定的にかかる費用

と考えて欲しい。

 

この固定費への考え方がゆるい経営者は間違いなく失敗する。

 

固定費と言うのは、油断するとあっと言う間に増え、一度増やすと削る事は非常に難しい。

 

代表的なものは、オフィス賃料と人件費であろう。

 

オフィスは、企業視点で見ても、金額として大きく、敷金・礼金・引っ越し費用を踏まえると、簡単に移れるものでは無い。

そして何よりも、オフィスを引き払って安いところに移転するのは、経営者としても従業員としても、なかなかできる意思決定では無い。

企業としての退化している印象を受けるからだ。

 

人件費についても、一度採用すると、人員整理にはかなりのお金と工数がかかる。

お金の問題だけではなく、企業責任も問われるため、増やした後には減らしにくい費用の代表格だ。

 

稲盛和夫曰く、

「もっと豊かになりたい」という欲望や見栄のために固定費は、知らず知らずのうちに贅肉のように増えていく

 

経営をする上で、常に気をつけていきたい。

 

誰が罠にかかるのか

様々な経営者と知り合う機会があるが、同時に失敗例もよく聞くことになる。

 

着実に経営をしていれば、固定費の性質やその大切さは身に染みてくる。

 

典型的な失敗パターンを紹介したい

 

コンサル出身起業家のきれいなオフィス

これほど嫌な予感がするものはない。今までのキャリアを通し、非常にきれいなオフィスで仕事をしてきたのはわかるが、起業したては一からのスタートである。

 

今までの「当たり前」がマインドブロックとなり、オフィスで見栄を張ってしまい、売り上げが立つ前に資金が尽きてしまうのだ。

 

資金が尽きてもなお、オフィスを引き払うことができず、融資や借金を重ねるパターンは多い。

 

売り上げのないベンチャーの積極採用

近年では、資金調達により豊富な資金を持つベンチャーが現れている。

 

その資金を生かし、事業拡大に向けた積極採用を行う企業は少なくない。

 

もちろん、企業としては成長を目指すべきだし、採用すること自体が悪いわけではない。

 

ただし企業としての投資は、常にリターンを求める。人員採用により利益額や利益率を中長期的に上げていく算段がない場合は、後ほど痛い目にあう。

 

特に売上を構築したことがなく、資金調達のみで成長してきた企業は、現実的な投資対効果の見積もりができない場合が多い。

 

今でこそ、最終的な買い手が見つかるため、売却によるイグジットができるものの、最終的に誰かが損をすることには変わりがない。

 

また採用した社員のキャリアを考えても、企業としてまっとうな成長が出来るように気をつけていきたい。

 

もちろん、これはベンチャーキャピタルの活動を批判的に見るものでは無い。

 

ベンチャーキャピタルの資本は、顧客に役立つ新たな発明を普及させる事に大きく貢献している。

経営手法の観点で見ても、ちらほら話を聞く限り、経営力が十分でない経営者を、豊富な経験と各方面でのコネクションによりフォローをしているように見える。

 

固定費についての感度がゆるいのは、あくまで経営者自身の問題である。

 

私を含め、起業家と言うのは「攻め」が強いのはある意味当たり前である。

 

だからこそ、「守り」については常に意識するようにしていきたい。

 

もちろん、企業にとって停滞は許されない。成長のために固定費を増やす決断も求められるが、そのタイミングや目的、リターンを考え進めたい。

 

採用について、

「あなたが苦手、やりたくないと思うことを、好きこのんでやってくれる人を探すといい」

とジェフベゾスが言っているように、探してみると固定費増加の意思決定については様々な教えが見つかる。

 

「攻め」と「守り」を意識しながら、大きく打って出る経営者になっていきたい。

 

本日は以上です。