『月記』

小瀬村卓実の備忘録。キャリア論と経営論を残します。

事業戦略は「構え」で決まる

今回は、事業戦略における「構え」について考えていきたいと思う。

 

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少し前に、ソフトバンクアカデミア孫正義氏からこんな話があった。

 

ソフトバンクビジョンファンドについて、その投資余力と規模から、既存のベンチャーキャピタルからずるいと不平不満をもらっている。

ただ経営者の観点でいくと、構えの段階で勝負はついている。いかに有利な構えを持って勝負に挑むのかということこそが大事である。」

 

という話であった。

 

話はシンプルだが、このような偉大な経営者の話は奥が深く、自分で実践できるようになるには、理解を深めなければならない。

 

今回は、この構えについて、自分なりに理解できている範囲を残したいと思う。

 

まずはどのような構えを目指すのか

 

大切な事は、その事業における急所を見定めることであり、レイターステージを支援するベンチャーキャピタルで言えば投資余力、ECで言えば品揃えと物流基盤、といったような競争優位に大きく関わる要素を特定することである。

 

この急所を見定めることが、かなり難しい。

個人的には、顧客の不変ニーズから考えるアプローチを好んでいる。

 

ジェフベゾスが、

「今後10年変わらないものこそが重要である」

と言っているように、各領域で顧客の今後も変わらないニーズと言うものが存在する。

 

ECで言えば、品揃え多く、やすく、早く届けてほしいというニーズは、今後も変わらないであろう。

 

上記はアマゾンが定義するニーズであるが、その不変ニーズを最もとらえる構えをいかに作るのか、ということを徹底した会社だと捉えている。

 

これらのニーズが適用される商材であれば、もちろんローカライズや細かい修正は必要なものの、アマゾンの得意分野となる。

逆に、ファッションや宝石など、ニーズがやや異なるものに対しては、アマゾンのECの仕組みは無敵ではない。

 

このようにどんな構えを目指すのかによって、その企業の事業戦略や競争優位性は大きく影響を受ける。

 

きちんと市場を見つめ、顧客のニーズを理解していくことが、事業の原点であると考えている。

 

いかに構えを実現するか

 

目指す構えが決まったら、あとはそれを実現するのみである。

 

ここで意識しておきたい事は、今できることの中から最適な組み合わせや道筋を選び、強い構えを築くことである。

 

構えで勝つとは言うものの、誰もがトランプ大統領と面談を設けたり、サウジアラビア政府にアポをとったりすることはできない。

 

孫正義氏の構えの構築は、一見飛び道具を用いているように思うが、実は今の彼の立場からできることの中で、最もインパクトが大きく、目指す構えに近づく道を選んでいる。

 

強力であるのは構え自体であり、そこに至るプロセスが特殊である必要は無いのだ。

 

今できることをきちんとやる。と言う大前提を持った上で、とは言え今できる事はかなりのたくさんの種類がある。

その中からどこにリソースを投下し、目指すべき構えそしてその先にある結果に結びつけていくのか、と言うのが事業戦略の肝だと考えている。

 

いずれにせよ、大きな目線で事業をとらえる意味で、「構え」の重要性の認識は間違いなく役立つ。

 

経営者の方も、企業で働かれている方も、自分の関わっている事業で作るべき構えについて考えてみることをオススメしたい。

 

私自身も、目の前のことに打ち込む中で、リフレッシュして大きな目線で事業を捉え直すようにしている。

社員の努力を預かる立場として、実現したい結果につながる方向性を描き続けていきたい。

 

本日は以上です。