『月記』

小瀬村卓実の備忘録。キャリア論と経営論を残します。

KPI設定の本質は「意識」にある

こんにちは。アサインで代表をしている小瀬村です。

今回は、弊社で行ったKPI管理の仕組みとその成功/失敗体験について残したいと思います。

 

f:id:tkosemura:20190128134146j:plain

 

まず前提として、アサインでは転職エージェントの事業を行っており、ファネルによるKPI管理を導入しています。

 

ファネル分析とは、

テレアポ初訪次訪見積もり成約

といったように段階ごとで分析を行うこと。

 

当然進むにつれ、数が減っていくので、

その形がファネル、日本語で言う漏斗に似ていることから、

こう呼ばれます。

 

最大の利点は、各プロセスごとに現状を把握し、根性論に突入しないと言う事。

アサインとしては、正当な転職支援を実現するためにも重要と捉えています。

 

金融営業などでのKPI管理によく見られますが、アポイント数や訪問数、提案数といった中間数字ではなく、

成約のみをKPIとして設定すると、社員としては、目標達成のために無理やり売りつけなければならない、と言う状況になりやすいと考えています。

 

1ヵ月に3件の成約を達成したいと言う場合に、

そもそも会っている人が3人や4人だと無理な転職を進めざるを得ない。

 

大切なことは、喜ばれる転職支援を実現するために、

本来転職すべき人の発生率を考えた母集団の形成を行うことであると捉えています。

 

さて本題ですが、

20191月より、KPI管理の仕組みを細かくすると言う施策を行いました。

 

具体的には、以下の2つ。

6つのプロセスでのKPI設定/トラック

・数値不足時の対応方法のリスト化

 

今までも6プロセスでの検討や議論は行ってきたが、

明確な数字として各プロセスに設定するのは初めてであった。

 

数字不足時のリストは、目標に対してショートしているときにどのような活動をどれだけすべきか、を定義した。

 

例えば、

「日程調整のメールに対して未返信の人に10通再送したら、1面談設定分のリカバリーになる」

 

といった内容のリスト化である。

 

結果としては、KPIの細分化は失敗。対応方法のリスト化は大成功となった。

 

KPIを細分化した結果、彼らの現在地を会社として非常に把握しやすくなった一方で、それぞれの社員が自分のKPIを覚えていない。と言う問題が発生した。

彼らからすると週2回チェックされるKPIは会社が見てくれるものと言う意識で捉えてしまい、自分がKPIの数字がいくつなのか、それに対してどう頑張るべきなのかと言う考えが不足し、結果に如実に現れた。

 

数字的な管理はできたとしても、意識の管理ができていないと感じた。

例えば担当転職者数が不足している時に、

「この方との面談はしっかり準備して、転職を何としても任せてもらわないと!」

といった数字では捉えにくい意識面のパフォーマンスに影響が出ていた。

 

一方、対応リストは非常に効果的で、

KPIが不足しているという現象から打ち手までの移行スピードが早まり、リカバリーが大きく進展した。

 

今回の学びから会社側のKPIは細く見えるものの、社員に伝えるKPIは本人の意識と言うものを重要視して数を減らす方針だ。リカバリー案については非常に機能しているのでこのまま継続したい。

 

特に人が絡む事業運営を行っている方は、

「数字的な管理の強み」と「人の意識」のバランスを取ると言う意味で参考に、していただきたい。

 

本日は以上です。