『月記』

小瀬村卓実の備忘録。キャリア論と経営論を残します。

事業戦略は「構え」で決まる

今回は、事業戦略における「構え」について考えていきたいと思う。

 

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少し前に、ソフトバンクアカデミア孫正義氏からこんな話があった。

 

ソフトバンクビジョンファンドについて、その投資余力と規模から、既存のベンチャーキャピタルからずるいと不平不満をもらっている。

ただ経営者の観点でいくと、構えの段階で勝負はついている。いかに有利な構えを持って勝負に挑むのかということこそが大事である。」

 

という話であった。

 

話はシンプルだが、このような偉大な経営者の話は奥が深く、自分で実践できるようになるには、理解を深めなければならない。

 

今回は、この構えについて、自分なりに理解できている範囲を残したいと思う。

 

まずはどのような構えを目指すのか

 

大切な事は、その事業における急所を見定めることであり、レイターステージを支援するベンチャーキャピタルで言えば投資余力、ECで言えば品揃えと物流基盤、といったような競争優位に大きく関わる要素を特定することである。

 

この急所を見定めることが、かなり難しい。

個人的には、顧客の不変ニーズから考えるアプローチを好んでいる。

 

ジェフベゾスが、

「今後10年変わらないものこそが重要である」

と言っているように、各領域で顧客の今後も変わらないニーズと言うものが存在する。

 

ECで言えば、品揃え多く、やすく、早く届けてほしいというニーズは、今後も変わらないであろう。

 

上記はアマゾンが定義するニーズであるが、その不変ニーズを最もとらえる構えをいかに作るのか、ということを徹底した会社だと捉えている。

 

これらのニーズが適用される商材であれば、もちろんローカライズや細かい修正は必要なものの、アマゾンの得意分野となる。

逆に、ファッションや宝石など、ニーズがやや異なるものに対しては、アマゾンのECの仕組みは無敵ではない。

 

このようにどんな構えを目指すのかによって、その企業の事業戦略や競争優位性は大きく影響を受ける。

 

きちんと市場を見つめ、顧客のニーズを理解していくことが、事業の原点であると考えている。

 

いかに構えを実現するか

 

目指す構えが決まったら、あとはそれを実現するのみである。

 

ここで意識しておきたい事は、今できることの中から最適な組み合わせや道筋を選び、強い構えを築くことである。

 

構えで勝つとは言うものの、誰もがトランプ大統領と面談を設けたり、サウジアラビア政府にアポをとったりすることはできない。

 

孫正義氏の構えの構築は、一見飛び道具を用いているように思うが、実は今の彼の立場からできることの中で、最もインパクトが大きく、目指す構えに近づく道を選んでいる。

 

強力であるのは構え自体であり、そこに至るプロセスが特殊である必要は無いのだ。

 

今できることをきちんとやる。と言う大前提を持った上で、とは言え今できる事はかなりのたくさんの種類がある。

その中からどこにリソースを投下し、目指すべき構えそしてその先にある結果に結びつけていくのか、と言うのが事業戦略の肝だと考えている。

 

いずれにせよ、大きな目線で事業をとらえる意味で、「構え」の重要性の認識は間違いなく役立つ。

 

経営者の方も、企業で働かれている方も、自分の関わっている事業で作るべき構えについて考えてみることをオススメしたい。

 

私自身も、目の前のことに打ち込む中で、リフレッシュして大きな目線で事業を捉え直すようにしている。

社員の努力を預かる立場として、実現したい結果につながる方向性を描き続けていきたい。

 

本日は以上です。

ブランドがあっても、実績のない人材に魅力はない

今回は、20代のキャリアを考える上で重要となる、実績とブランドについて書いていきたいと思います。
 

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20代の間は、自身の成長やスキルアップといった観点でキャリアを考える人が多い。

 

その考え方は、全く間違ってはいないし、20代はその先の長いキャリアの大きな方向性を決める大切な期間である。

 

一方で20代から見て3040代のキャリアはブラックボックスになる傾向になり、特に30歳以降で重要視される、実績とブランドについてご紹介したい。

 

年齢を重ねるにつれて「実力があるか」で見られる

 

よく若手の方は、企業ブランドを重視する傾向にあるが、本来的に必要であり、より評価されるのは実績の方である。

 

例えば、

マーケティングであれば、ある事業の売り上げを何%改善したか、

M&Aアドバイザリーであれば、グローバルでのビッグディールを何件手掛けたか

 

もちろん特定の訴求力の強いエピソードでもいいし、経験の数による担保でも構わない。

大切なのは社内だけではなく社外に明確に訴求できるような実績を持っているかどうかだ。

 

30歳を超えたあたりから、ほとんど学歴は関係がなくなる、

そして年齢を重ねるに連れて、社歴自体の意味は薄まっていき、

その方の本質的な実力、そしてそれを証明する実績を見るようになる。

 

事業会社側での採用目線は、皆さんが思っている以上に実力・実績にフォーカスしている。

 

20代での経験やスキルアップは当然考えながらも、

30代でどんな実績をどこで作るのか、という観点は念頭に置いておくべきであろう。

 

既存営業で、昔からの関係を維持することだけでは本人の実績とはならない。

今営業の基本を身に付けるためにその仕事に打ち込む事は結構であるが、

30代以降も営業マンとしてのキャリアを切り開くのであれば、

自分がやっていきたい領域に近い営業職で明確な実績を残しに行く、その具体的なキャリアプランを描くべきだ。

 

ブランドは無意味なのか?

 

では、若手の関心事であるブランドには意味がないのかと言うと、そんなことはない。

 

ただし、ブランドの効果を等身大で捉える必要はあると思う。

 

よく「マッキンゼーのブランドは2社先まで安泰にしてくれる」、

と言うが、これは事実だ。

 

それほどにマッキンゼーのブランドと言うのは魅力的だし、

一方で、人材流動性が高いコンサルティングの領域において、

2社先までしか保証されない、とも言える。

 

とはいえ、どこかのタイミングで事業の責任者や、部門を背負うスーパープレイヤーになっていく中で、

本当に実力があるのか、という問いは避けて通ることができない。

 

ただし、ブランドを重視して考えるべき職業と言うのも存在する、それは「先生業」に属する職種である。

 

例えば、弁護士や会計士はもちろん、コンサルタントM&Aアドバイザリーも含まれる。

 

これらの仕事は、「先生」としての要素を含んでおり、MBAや資格等も効果的になる。

 

キャリアをコンサルや弁護士としてずっと歩んでいく方針の方は、ブランドは重要な位置づけになるため、軽視すべきでない。

 

ただし、ブランドはあくまでキャリアプランを実現するためのツールでしかなく、目的地にはなり得ない。

自分の価値観に合うキャリア、やりがいを感じられるキャリアを見定め、そのために必要な道のりを歩んで欲しい。

 

そのためにも、20代での経験や成長を通して、30代では実績を残しに行くと言う強い意志を持つ人が増えれば嬉しい限りである。

 

本日は以上です。

KPI設定の本質は「意識」にある

こんにちは。アサインで代表をしている小瀬村です。

今回は、弊社で行ったKPI管理の仕組みとその成功/失敗体験について残したいと思います。

 

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まず前提として、アサインでは転職エージェントの事業を行っており、ファネルによるKPI管理を導入しています。

 

ファネル分析とは、

テレアポ初訪次訪見積もり成約

といったように段階ごとで分析を行うこと。

 

当然進むにつれ、数が減っていくので、

その形がファネル、日本語で言う漏斗に似ていることから、

こう呼ばれます。

 

最大の利点は、各プロセスごとに現状を把握し、根性論に突入しないと言う事。

アサインとしては、正当な転職支援を実現するためにも重要と捉えています。

 

金融営業などでのKPI管理によく見られますが、アポイント数や訪問数、提案数といった中間数字ではなく、

成約のみをKPIとして設定すると、社員としては、目標達成のために無理やり売りつけなければならない、と言う状況になりやすいと考えています。

 

1ヵ月に3件の成約を達成したいと言う場合に、

そもそも会っている人が3人や4人だと無理な転職を進めざるを得ない。

 

大切なことは、喜ばれる転職支援を実現するために、

本来転職すべき人の発生率を考えた母集団の形成を行うことであると捉えています。

 

さて本題ですが、

20191月より、KPI管理の仕組みを細かくすると言う施策を行いました。

 

具体的には、以下の2つ。

6つのプロセスでのKPI設定/トラック

・数値不足時の対応方法のリスト化

 

今までも6プロセスでの検討や議論は行ってきたが、

明確な数字として各プロセスに設定するのは初めてであった。

 

数字不足時のリストは、目標に対してショートしているときにどのような活動をどれだけすべきか、を定義した。

 

例えば、

「日程調整のメールに対して未返信の人に10通再送したら、1面談設定分のリカバリーになる」

 

といった内容のリスト化である。

 

結果としては、KPIの細分化は失敗。対応方法のリスト化は大成功となった。

 

KPIを細分化した結果、彼らの現在地を会社として非常に把握しやすくなった一方で、それぞれの社員が自分のKPIを覚えていない。と言う問題が発生した。

彼らからすると週2回チェックされるKPIは会社が見てくれるものと言う意識で捉えてしまい、自分がKPIの数字がいくつなのか、それに対してどう頑張るべきなのかと言う考えが不足し、結果に如実に現れた。

 

数字的な管理はできたとしても、意識の管理ができていないと感じた。

例えば担当転職者数が不足している時に、

「この方との面談はしっかり準備して、転職を何としても任せてもらわないと!」

といった数字では捉えにくい意識面のパフォーマンスに影響が出ていた。

 

一方、対応リストは非常に効果的で、

KPIが不足しているという現象から打ち手までの移行スピードが早まり、リカバリーが大きく進展した。

 

今回の学びから会社側のKPIは細く見えるものの、社員に伝えるKPIは本人の意識と言うものを重要視して数を減らす方針だ。リカバリー案については非常に機能しているのでこのまま継続したい。

 

特に人が絡む事業運営を行っている方は、

「数字的な管理の強み」と「人の意識」のバランスを取ると言う意味で参考に、していただきたい。

 

本日は以上です。

企業成長はRPG的である

今回は起業して実際に感じた、

企業成長について書いていきたいと思います。

 

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まず伝えたいのが、

『企業成長はRPG的である』

という事。

 

つまり、ドラクエファイナルファンタジーのように、

レベル上げを行うことで、チャレンジできることや取り組めることが増えていく、

という考え方である。

 

創業時は何をするにも一苦労だった。

 

創業当時は、特に実績もなく資金的にも余裕がなかったので、

転職エージェント事業の許認可を取るだけでも大変だった。

 

(資金の条件や、社会人期間の条件、オフィスの間取りに関する条件など、実際に取ろうとすると色々と苦戦する。)

 

その後、今できる精一杯の取り組みを繰り返す中で、

ある程度の投資が出来るような資本的体力や、入社したいと思われるような企業としての安心感、もちろん会社としての経験値などが付いてきたように思う。

 

なんとなく言っている事はわかるだろうが、せっかくなので具体例を踏まえてお伝えしたい。

 

起業したての方やこれから起業を考えている人は、気長かつ全力で今に取り組むための、1つの頭の整理として読んでみて欲しい。

 

実際のところ、企業はどのように成長していくのか?

 

例えば「ヒト」の観点で考えたい、

創業当初は、もともとの会社の後輩や古い友人と始めると言う場合が圧倒的である。

実際に弊社アサインも学生時代から交流のある会社の後輩と2人でスタートした。

 

その当時は、3人目の社員のあてもなく、人が増えるイメージもなければ、

エンジニアなど、今までの自分の経歴から遠い職種のメンバーを雇うことは、正直想像すら難しかった。

 

それもそのはずで、今振り返ってみると、

当時は3人目を雇うこともエンジニアを雇うことも無理だったように思う。

 

よくベンチャーの伝記的な話で、

1,000人のエンジニアをナンパした」

「突如経験のある優秀な人材に助けられた」

といった話を聞くこともあり、何か手はあるはずと考える方もいるだろうが、

それはあくまで無理なジャンプであることは認識しておいてほしい。

 

今事業が成長し、やれる選択肢が広がりを見せていることを考えると、

大切な事は、今その時に手の届くできる限り良い選択肢を取る、

ということであると感じている。

 

弊社の場合、実際にどのような過程をたどったかというと、

 

2人で結果を出すにつれて副業として参加したいと言うメンバーが現れる。

(彼らは今でもアサインに貢献してくれている。)

何とか黒字が安定し始めたタイミングで、

私の妻が、アサインのメンバーとして入社した。

(彼女は明確な戦力でもあるし、何より見た目の人数が増えたのは効果的だった。)

転職支援をしていたお客さんの1人が、

エージェントとしてのサービスに感動して正式入社した。

(完全な外部からのメンバーの採用で、オフィスなど雰囲気が会社らしくなっていった。)

当初から副業で働いていたメンバーが、正式にジョインした。

(この頃から私がエージェントの現場から離れ、新規ビジネスやマネジメントに集中するようになった。)

利益レベルが個人ではなく、企業としての単位となっていった。

資本的余剰により、成果報酬では雇いにくい、エンジニアやバックオフィスの採用が視野に入った。

(マネジメントに集中できたこと、現場の頑張りが大きかった。)

もともと友人としてつながりのあったエンジニアがCTOをとして入社した。

(彼の勇気が大きいが、会社としての受け入れ態勢も整っていたと思う。)

 

といったように、少しずつ成長するにつれて人数的にも資本的にも強くなり、

最初はイメージがわかなかった3人目以降の社員、そしてエンジニアの採用まで至ったのである。

 

今後、様々なメンバーが入ってくるだろうと考えているが、

今この時点からでも、

過去に転職支援した方が将来アサインに入社したいと言ってきてくれるイメージはあるし、社員が増えるにつれ、紹介採用のネットワークもより広がりを見せると思われる。

 

企業として成長するに連れ、色々な人が協力してくれるようになってくる。

 

成功したら手のひらを返してくる、と皮肉を言う経営者もいるが、

 

個人的には、きちんと努力を続け、企業としてのレベルを上げられれば、

「会社を助けてくれる人が社内外問わず、妥当に増えてくれている」

と言う印象である。

 

もちろん「ヒト」の観点以外でも、

 

創業期は、800万円融資してくれなければ会社が潰れると伝えるも、

200万円しか出してもらえなかったが、

今では無担保・無保証で1,000万円貸したいと提案をもらえたり、

 

「モノ(技術/サービス)」の観点でも、

 

Web・モバイルともに自社でサービス開発をする力も、

エージェント会社としての実力や信用力も上がってきている。

 

創業当時は、

エージェント企業の30社とアライアンスを組む、

BizReachNo.1エージェントと、弊社の取締役が対等の立場で対談する、

といった状況はイメージもできていなかったように思う。

 

まだまだ若く、一足飛びに成長したいという考えはあってしかるべきだと思うし、今でも私はそう思っている。

ただし経営にはRPG的な要素があるというのを踏まえた上で、今を全力で頑張ると言う姿勢を忘れないで進めていきたい。

 

稲盛和夫 氏 曰く、

「ただ一心に成功を信じ、日々工夫を積み重ねる」

である。

 

社員で読んでいる人もいると思うので、最後に一言。

 

回顧的な内容が多くはなりましたが、

まだまだアサインは、正念場です。

 

強風が吹けば、吹き飛ぶし、

逆に強風を起こす存在にもなり得る。

 

死ぬ気で頑張っていきましょう。

 

本日は以上です。

世界一シンプルなキャリアプランニング

エージェント事業を運営していると、一番聞かれる質問がこれだ。

「自分が何をしたいかがわからない」

 

キャリアプランを考える上で、その中心になるのは将来何がしたいかである。

今回は、その将来像の最もシンプルな考え方について紹介したいと思う。

 

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それは、

人になんと紹介されたいかである。

 

「ディズニーを作った小瀬村さんです」

Googleの日本代表の小瀬村さんです」

「世界一の経営者の小瀬村さんです」

 

といったように紹介された時に、

いかに自分がピンとくるか、誇れるかという観点で考えてみて欲しい。

 

ベンチャーキャピタリストの〇〇さんです」

 

ではしっくりこない場合も、

 

ベンチャーキャピタルのあり方を変えた〇〇さんです」

 

はしっくりくる事もあるだろう。

 

具体的なイメージをいくつかあげる中で、

自分は大きなインパクトがあることがしたい、

2C知名度のある事業がしたい、

昔からの大企業の社長になりたい、

といった法則が見えてくるだろう。

 

このキャリアの最終地点とも言える内容を、

一言でどう紹介されたいのかという考え方が、

キャリアプランを考える上での大きなヒントになる。

 

アサインでは、その方の価値観から演繹的になりたい姿家の外でキャリアを描いていくというアプローチをよくとるが、

相談できるキャリアアドバイザーやメンターがいない場合には、

こういった最終地点からまずはイメージをわかすというのは効果的な手法である。

 

もしあなたに人生のパートナーがいるのであれば、

その方と一緒に考えてみるのもオススメだ。

 

松下幸之助は、最初あんみつ屋をやろうとして、奥さんが止めている。

彼女には、松下幸之助がどういう人間で、どんな仕事をしていると

「彼らしい」かのイメージがあったのだろう。

 

本格的にキャリアプランを練るには、将来像を定義した上で、

どのようにそこに至るのかということを検討しなければならないため、

実際には、もう少し腰を据えて考える必要がある。

 

しかし、この方法はキャリアプラン策定の第一歩を踏み出すには効果的であり、

朝早くから夜遅くまで、会社や上司のために一生懸命働いている方にこそ、

1年目や3年目の終わりといった区切りで、自分のための時間を作って頂けると、エージェント冥利に尽きる。

 

本日は以上です。

ポテンシャル転職の虚像

今回は、ポテンシャル転職の実態について考えていきたいと思います。

 

よく20代の転職は「ポテンシャルを見てもらえる」と言いますが、

エージェント事業を運営する身としては、

実際はそうなっていないことの方が多いと捉えています。

 

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なぜポテンシャル転職は実現しないのか?

転職エージェントに話を聞きにいって、

「結局今と似たような仕事しかないのか」

「結局よく聞く案件しか紹介されないのか」

と感じる若手の方も多いのではないでしょうか?

 

では、20代のポテンシャル転職はなぜ実現しないのか。

その状況踏まえ、人材業界そして転職者の方は、

どう対応していくべきなのかについて考えた内容を残します。

 

ポテンシャル転職が実現しない最大の理由は、

人材業界、特にエージェント事業におけるビジネスモデルにあります。

 

転職エージェントの売上は、

転職を支援した方の年収に紐付いて決定する仕組みになっており、

シニアに比べて若手はどうしても単価が安くなるという傾向にあります。

 

その中で、企業として収益を構築するために、

20代の転職者は一人当たりに工数をかけるのではなく、

グロスでガサっと転職を支援するのが最適解になりやすい。

 

そのためには、

「20代の転職者の経験やスキルがそのまま活きる求人案件」

つまり即戦力採用という形での転職支援となります。

 

選考対策に工数をかけずに内定をとってもらうには、

受かりやすい案件である必要があるからです。

 

勘が良い方は既にお気づきかもしれませんが、

経験やスキルがそのまま活きる転職を進めることで、

20代の転職者から見ると、

「その方の数少ない経験の中で転職先を選ばなければならない」

と言うことになります。

 

本来ポテンシャルで幅広い可能性の中で見られるべき20代の転職者が、

経験豊富なシニアよりも応募できる案件の幅が狭いような提案を受ける理由はここにあります。

 

この実態を踏まえ、どう動くべきか?

20代の転職者を支援する場合においては、

今の経験やスキルでは次の仕事の30%程度しかフォローできないが、

その方の人間的な魅力やベース能力、これからのキャッチアップの方針を語ることで

70%の不足があっても、今後の成長を想定して採用してもらう、

そのための支援を行うと言うのがエージェントに求められる役割だと考えています。

 

転職者の方から見れば本当に自分がやりたい仕事は何なのかと言う整理を行った上で、

エージェントに希望を伝え、目指すキャリアプランと選考対策を一緒に進めていくという心がけが重要です。

 

人材会社の経営者として見れば、

業界全体として必要な仕組みは、20代の若手転職者の場合、

・即戦力転職

・ポテンシャル転職

・不可能な転職

の整理を明確にすることだと考えています。

 

もちろん今やっている仕事が自分に合っていて、

そのスキルや経験をそのまま生かせるような仕事を続けていきたいと言う方であれば、

当然即戦力転職で問題ありませんし、実際にそういう方も多くいらっしゃいます。

 

一方で、その方のやりたいことがキャリアチェンジやポテンシャルの要素を含むのであれば、

企業側の採用事情も含め、ポテンシャルを見せれば十分転職を実現できるのか、

または可能性のある範囲でのキャリアプランを再構築すべきなのかという見極めが重要になります。

 

今後弊社でも、若手における転職の構造的な問題を解決すべく、

テクノロジーと「人」によるサービスの両軸で取り組んでいければと思います。

 

本日は以上です。

起業家の事業選定は「今日の午後からやれるものにせえ」

 

はじめまして、アサインで代表をしている小瀬村です。

 

今回は起業を考える人が誰もが悩む事業選定について、創業当時に思っていたことを備忘録として残したいと思います。

 

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アサインは若手ハイクラスを支援する人材会社として、

転職エージェント事業からスタートしました。

 

実は私は、今の会社を立ち上げる前に、

コンサルファームで働きながら副業で事業をやっていました。

 

ただ実際に独立して起業するとなると、

「自分の生活がかかっている」と言う意識や、

「本当にうまくいくのだろうか」ということを考えてしまい、

事業選定をどのようにやれば良いのかという悩みは、1番最初にぶち当たる壁だと思います。

 

今創業してしばらく経ち、自分の中での事業選定の理論も確かなものになる中で、参考になると感じている情報は当初より変わっていません。

 

それは孫正義やジェフベゾスが起業したときの事業選定軸です。

 

簡単に紹介します。

 

孫正義ソフトバンクをソフトウェアの卸からスタートしています。その際の事業選定の軸は25項目に及び、40の事業アイディアを、

 

「儲かる」

「ビジネスにやりがいがある」

「構造的に業界が伸びていく」

「資本がそれほどなくていい」

「若くてもできる」

「将来の企業グループの中核になる」

「自分自身やりがいを感じる」

「ユニークである」

「日本一になりうる」

「人を幸せにできる」

「世界中に拡大できる」

「進化を味方にできる」

 

といった軸で評価しています。

 

ジェフベゾスはEC(エブリシングストア)を考える際はブレストでしたが、その後「書籍」を取り扱う判断で軸による評価を行っています。

 

その内容は、

 

「オンラインでも信用できる(贋物とかない)」

「市場が大きい」

「競争が激しい」

仕入れが容易」

「データベース化が容易(ISBN番号)」

「ディスカウントチャンスがある(不動産/在庫コスト不要)」

「安く簡単に送れる」

「オンラインの可能性が大きい」

 

参考になるのは、いくつかの事業アイディアをきちんと出し、評価を行う。

そのアプローチは両者に共通しています。

これらの内容は今でも、自分の事業選定軸を考える上で参考になる情報として使っています。

 

では、私が創業当時に行った事業選定が思い通りにいったのかどうかと言うと、全く思い通りにならなかった。

 

今事業を経営して2年が経ち、ようやくその理由もわかってきましたが、事業選定の軸は先人を参考にしていたため、大きく誤ってはいなかった。

 

一方で、肝心なのが、一つ一つの軸の理解。その本質が腹落ちしていないと、結局は正確なものにはならないというのが教訓です。

 

「進化を味方にできる」

 

などは明らかに理解しにくいですが、

 

「市場が大きい」

 

といったものですら今考えると、当時は理解できていなかった。

 

実は、孫正義はソフトウェア卸の前に、音声翻訳機の発明やインベーダーゲームの輸出入によって大きく収益を上げていました。

これらは今のソフトバンクとは違う会社ですが、事業を運営する中で、どのような事業がうまくいくのかという理解を深めた上でこれらの軸を設定していた。

 

実はジェフベゾスも、ECの前に異なる事業をやっています。

(「果てなき野望」をよく読むとわかる)

 

ではなぜ事業選定がわかっていなかったのにも関わらず、

アサインの事業が成長し、新たなステージに進めているのかと言うと、実はもう1人、身近な方にアドバイスをいただいていました。

 

新卒で入ったコンサルティングファームの創業時の副社長に、起業すると伝えにいった時のこと、アドバイスはたったの1つで、

「今日の午後から何をやったらいいかわかるものにせえ」

と言うアドバイスでした。

 

今になって思うと一番最初の起業であれば、このアドバイスは最も的を射ていた。

 

また別の記事でも触れたいと思いますが事業選定を含む経営と言うのは経験を積み重ねる中で上手くなっていきます。

そのため、まずは実際にサービスを作り上げ、事業を運営することが大切。

 

そして「転職エージェント」という簡単に思える事業でも、

実施するまでに多くの壁がありました。

 

「政府の許認可が取れない」

「人材業界からはアウトサイダーとして冷たく見られる」

「実績がない状況での企業開拓が難しい」

 

実現ハードルはどんな事業でも存在しますし、心理的にもきつい。

まず、

「やり遂げるためにはやることを複雑にしすぎない」

「困難にぶち当たっても続けられるだけの意義を感じられる」

 

この2つだけは外さないことをオススメします。

 

そして今経験を積む中で、自身として腹落ちした事業選定の軸もできていますが、それはまた後日。

 

本日は以上です。